学術の動向
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歴史認識と植民地責任
朝鮮近代史の立場から
──「植民地戦争」の視点から見た日本の植民地支配責任
愼 蒼宇
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2022 年 27 巻 12 号 p. 12_54-12_58

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抄録

 本稿は、植民地化過程・支配下における日本軍による朝鮮人に対する軍事暴力の問題を「植民地戦争」の観点から歴史的に検討している。その狙いは、「十五年戦争」の枠組みでしか、連続的に捉えることのなかった日本近代史の「戦争」のなかの「不在」を、朝鮮での軍事行動の視点から問い直すところにある。

 朝鮮では甲午農民戦争以降、日露戦争時の民衆迫害、義兵戦争、三・一独立運動、間島虐殺と、日本による朝鮮民族運動に対する軍事暴力が繰り返されてきた。筆者はそれを「朝鮮植民地戦争」と呼んでいる。朝鮮植民地戦争を通じて、日本の官民は朝鮮人迫害の経験を蓄積していき、郷土新聞における差別扇動などを通じて、朝鮮人=「暴徒」「不逞鮮人」像が日本社会のなかに形成されていった。関東大震災時の朝鮮人虐殺は朝鮮植民地戦争経験の蓄積を経て起こった、無実の朝鮮民衆に対するジェノサイドであった。

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