学術の動向
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歴史認識と植民地責任
歴史学は何をなすべきか
吉澤 誠一郎
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2022 年 27 巻 12 号 p. 12_72-12_73

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抄録

 歴史学は、史料にもとづいて過去について考察しようとする営みである。かりに非常に論争的な歴史認識の対立があったとしても、歴史学の探究を通じて、立場の相違を超えた共通の立脚点を作る余地はある。その過程では発言力の弱い人々、そして過去において理不尽な被害を負わされてきた人々の立場を、歴史研究は格別に留意して扱わなければならない。

 さらに、日本の植民地支配と第二次世界大戦後の各国の政治状況が折り重なって、問題を複雑にしてきたことにも注目すべきである。日本では1945年を区切りとする歴史認識が広く定着している。しかし、日本の植民地支配から解放された後まもなく激しい戦乱や厳しい抑圧を受けることになった人々について十分な関心を向けていく必要がある。

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© 2022 公益財団法人日本学術協力財団
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