東京低地では近世以降海岸部の干拓や埋立、河川の改修などの人工改変が進められてきた。著者は微地形の分布をもとに、これらの改変が行われる前の東京低地の地形を復元した。中世頃は利根川が東京低地で分流してデルタを形成し、前面には干潟が分布していた。東京低地の微高地では主に古墳時代以降の遺跡がみられる。東京低地の地形・環境変遷に関する多くの研究をもとに、100万年スケールの氷期・間氷期変動から10年スケールの人間活動による影響まで、年代スケールごとの環境変動を整理し、現在直面する災害脆弱性などの課題を示した。