2022 年 27 巻 2 号 p. 2_59-2_63
気候変動への対応は、温室効果ガスの排出削減をめざす緩和策と悪影響に対する適応策が両輪である。本論では、日本の適応の経過を概観し、2018年の気候変動適応法成立以来、国や地方自治体の取り組みが進展したことを示す。その一方で、現状では分野・事象ごとの計画が主体であり、我が国の気候変動リスクへの対処に関する全体的な見取り図や、個別分野の対策を超えた社会全体のレジリエンス(対応能力)の強化が必要であることを指摘する。さらに、急速に進展している2050年カーボンニュートラルの動きとの関係を検討し、適応という切り口で地球環境変動への対応のあり方を考える。