2022 年 27 巻 2 号 p. 2_82-2_86
近年、国内では少子高齢化が進展する中で、道路交通やモビリティに関する問題が顕在化しつつある。自動運転システムの実用化は、新たなモビリティサービスの創出や交通事故削減により、安全安心な道路交通の実現に繋がると期待されている。特に、自家用車については、2020年6月に自動運転レベル3の国際基準が制定され、限定条件下とはいえシステムが運転の主体となる自動運転での公道走行が可能になった。今後レベル3以上の自動運転システムの市場化が進むと考えられるが、より一層の普及にあたっては自動運転に対する社会的受容性が不可欠である。特に、説明性が高く国際的にも認められる安全性評価手法の確立が課題である。本稿では国内での官民連携による自動運転実用化の取り組みについて紹介した上で、自動運転システムの安全性評価に関する課題と海外動向を概観すると共に、国内で進められている安全性評価の手法構築の取り組みについて述べる。