2022 年 27 巻 4 号 p. 4_26-4_30
エネルギー自給とカーボンニュートラルの両立という野心的な目標を目指す上で、安定的で安全で安価なエネルギーの供給が重要である。エネルギー自給には供給体制を多層的に構成してレジリエンスを高めていくことも重要である。エネルギー源はそれぞれに強みと弱みを持っており、安定的かつ効率的なエネルギー需給構造を支える単独のエネルギー源は存在しない。安定供給が確保される需給構造を実現するためには、エネルギー源の強みが最大限に発揮され、弱みが適切に補われるよう、各エネルギーの自律性や強靭性、強みと弱みを評価し、それをふまえた柔軟な施策が求められる。原子力はエネルギー自給と脱炭素へ貢献する。エネルギー確保とカーボンニュートラルの両立は、原子力エネルギーを活用せずしてはなしえない。幅広い視点でエネルギー問題を総合的・俯瞰的に考えることが不可欠であり、原子力を安全に持続的にどう利用するのか、今こそ正面切った議論が求められる。