核燃料サイクルは、原子力発電所から排出される「使用済み燃料」から再処理によりウランとプルトニウムを回収し、再利用することである。開発当初は、高速増殖炉(FBR)の開発を目標としていたが、主に経済性の理由で多くの国は撤退した。日本は「全量再処理」政策を現在も維持しているが、FBRの商業化の見通しが立たず、プルトニウムを既存の原子炉で利用する「プルサーマル」も予定通り進んでいないため、約46トンものプルトニウムを抱えることになった。最近は、放射性廃棄物の減容や毒性低減が再処理の利点として挙げられているが、その科学的根拠は薄い。プルトニウムは核兵器の材料にもなるため、安全保障上の重要な課題として考えられている。経済性はもちろん、安全保障や地域社会との関係も含めた再評価を、独立した機関で評価すべきだ。原子力発電所の将来については、競争力の低下により気候変動に果たす役割は限定的なものになりそうだ。