新型コロナウイルス感染症の持続的な流行は、女性の暮らしに甚大な影響をもたらしている。女性や女児に対する暴力が国境を越えて増加している状況は、「影のパンデミック」と言われ、各国での対応の必要性が指摘されている。そこで、本稿では、まず、コロナ禍において政府が新たに取り組んだ女性への暴力に関する相談支援を紹介した。そのうえで、平時からいかなる相談支援体制が求められているのかという点について、女性への相談支援の公的な専門職である婦人相談員に焦点をあて、その高度な専門性と役割の重要性を確認した。しかしながら、法的な根拠が脆弱であるために、婦人相談員の配置状況には地域格差が大きく、配置の促進と処遇改善による支援体制の構築が急務であることを指摘した。