学術の動向
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コロナ禍における社会の分断 ─ジェンダー格差に着目して─
ケアの代表・承認・報酬
──ジェンダー格差解消に向けて
三浦 まり
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2022 年 27 巻 5 号 p. 5_40-5_45

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抄録

 コロナ禍はケアのニーズを急増させたが、ケア提供者が休業、辞職、失業に追い込まれる事態をもたらした。ケア提供者がケア実践に集中するために誰かに経済的に依存せざるを得ない「二次的依存」が生じたからである。ここから脱するには「ケアの権利」が保障される公共政策が実施される必要がある。本稿は諸外国ならびに日本で展開したケア支援に関する政策を概観し、日本の施策が手薄であったこと、とりわけ事業主に対してケアのニーズを恣意的に裁定する権限を与えている点を問題視する。ケアを承認し、その報酬を高めていくには、ケアの代表が適切になされる必要がある。もっとも、緊急事態において当事者が組織化し政治に声を届けることは容易ではない。その意味で学術知が果たす役割が大きいことを指摘する。

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