人間は、情報の与えられ方で判断を変える。たとえば手術を受けねばならないときに、ふたつの手術プランを提案されたとする。A案:手術を受けた100人のうち、1年後に90人が生存している手術、B案:手術を受けた100人のうち、1年までに10人が亡くなる手術。どちらの案を選ぶかを調査すると、どちらも同じことをいっているにもかかわらず多くの人がA案を選ぶ。数字の見せ方で判断が変わるこの例を「フレーミング」という。情報の与え方で非合理的な判断や認知をすることを「認知バイアス」といい、このようなバイアスはほかにも数多くある。
人間は、「信号」のやりとりをするコンピュータと違い、「情報」の受け取り方にクセがある。そのクセを理解しなければ、自然環境と調和し、持続可能な社会を目指す合意を形成することはできない。環境や社会、人間の生存をまもるための道具として情報が活用されるためには、人間の情報処理の特性を理解する必要がある。