2022 年 27 巻 6 号 p. 6_30-6_32
今日の高卒就労支援に必要な専門性は、職業指導・職業紹介/就労支援/企業支援の専門性である。これらは教員の本来的業務範囲をとっくに超えている。政府は、無理の来た学校経由の就職制度(職業安定法27条などに規定)への対処を試みてきた。「高等学校就職支援教員」配置の財政措置や、スクールソーシャルワーカー(SSW)らの法令明記(学校教育法施行規則改正)である。だが、かかる専門職の学校配置には課題がある。第一、就労支援者やSSWを非常勤職員として雇用する当の監督者が(cf. 学校教育法37条)、上記の専門性にしばしば不案内で、適切な業務分担を困難にしている。第二、高卒就労支援では、職業安定は厚生労働省、高校は都道府県、福祉は区市町村と行政機関がスケール的に分立し、区市町村・小中学校を範にとった「チーム学校」的対応は必ずしも充分に機能しない。他方、上記諸課題の克服を目指す広域自治体事業が進行中で、注目に値する。