自動運転車(AVs:Automated Vehicles)の社会的実装が現実味を帯びている。本稿では、RISTEXのRInCAに採択されたプロジェクト(代表:中野公彦東京大学教授)で推進されている、AVsの社会的受容に向けた課題を定量的/定性的に把握した成果の一部を紹介する。具体的には、日本におけるAVsの新聞報道の経緯を概観する。その上で、AVs開発や実装を巡る様々な論調に対する人々の意識、AVsの公道実証実験を巡るNIMBY問題について日本とドイツで比較分析した結果(東京23区、愛知県、ベルリン都市圏、ルール工業地帯の各500名、計2,000名を対象に2020年5月にWEBにて実施)を紹介する。そして「クルマ」がわが国で受け入れられてきたプロセスの一端を把握すべく、高度経済成長期のNHK番組にみる自動車の社会的受容を交通事故対策に着目して紹介する。