学術の動向
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第I部 戦争と戦後の日中韓三国関係と地域共同の枠組み
戦後日米関係と沖縄をめぐる安全保障
我部 政明
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2022 年 27 巻 8 号 p. 8_23-8_26

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抄録

 2022年に沖縄の施政権返還から50年を迎えた。

 日米同盟を最優先する日本政府は、20世紀が終わろうとするとき、整理縮小のための代替という名目で沖縄での新たな基地建設を計画した。日本政府と沖縄の人々との間での新たな緊張の始まりであり、今なお続く。これまでアジアでの米国の戦争(朝鮮戦争、台湾海峡危機、ベトナム戦争、中東での戦争)に加え、現在の台湾をめぐる米中の対立にあっても、日本政府と沖縄との緊張がやむことがない。軍事的な手段による解決を望まない沖縄の人々の声が強いからである。沖縄戦の教訓の「命どぅ宝」が生きているのだ。

 日本の安全は沖縄の基地負担という代償を支払って成り立つ。それゆえ、沖縄での反基地という世論は日本の安全保障政策の基本を揺るがすパワーを持っている。沖縄からの恒常的な政治問題化(politicization)が問題の解決へ導くように思える。沖縄の基地削減のためには、沖縄を取り巻く国際環境の安定化が不可欠である。

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