日中韓3国共通の歴史教材づくりの経緯については、すでに本誌2020年9月号掲載の論稿で、2019年12月までの経緯を紹介した。本稿では、それ以後の2年半を含めた日中韓連携の継続的な取組みの経緯と、この取組みの担い手について紹介したうえで、歴史認識の更新と歴史和解のための課題を提示し、過去を未来に架橋することへの展望に言及する。そのうえでこの取組みが、市民間の共通基盤の量的・質的な拡大をはかって不信を信頼に変え、差異性とともに共通性を確認し合って対立を和解と連帯に変え、歴史を判断する主体を創出して知を力に変えるという、3つの変化を東アジアに呼び起こすことへの期待を述べる。