最近、中国が実力行使をしながら、そこから生じる問題は、すべて話し合いによって解決するのが自国の立場だと繰り返し主張している。これに対して、日米は、中国の態度は国際法を無視するものであって、許されないと反論している。歴史を見れば、多くの場合、国際法の遵守を声高に主張するのが小国であることは明らかである。そのように考えると、日米が、とくにアメリカが凋落の途にあることは覆い隠すことができないであろう。大国であれば、国際法違反を理由に、小国を意のままに操ることができるはずだからである。中国が、もはや小国でないことは明らかである。
本稿においては、南シナ海仲裁判決、および、香港国家安全維持法を素材に、中国が国際法とどのように対峙しているのか、そしてそれに対して欧米がいかに対応しているのかを分析する。