学術の動向
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第III部 東アジアの地域秩序の変容 ──中国・アメリカ・東南アジアの戦略と域内の論理
アメリカの東アジア戦略
──「価値の同盟」QUAD, AUKUSと東アジア
羽場 久美子
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2022 年 27 巻 8 号 p. 8_52-8_56

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抄録

 中国の急速な経済成長とアメリカの経済的頭打ち、及びコロナによる米の感染拡大と100万人を超える死者の増大によって、東アジアでの米中の緊張関係が増している。そうした中、経済的には中国との連携、政治的にはアメリカとの同盟で、乗り切ろうとするアジア諸国が増えている。

 一方で、アメリカは2021年6月のG7サミットで、「価値の同盟」を打ち出し、民主主義vs専制主義を掲げて中国に対する圧力を強めている。しかしアジア諸国においては、地域協力・地域共同の動きが、ASEAN、一帯一路、SAARC、BIMSTEC、RCEP、CPTPPなどによって広がっている。また地域の安定化のための、日中韓学術連携、インド太平洋の学術連携も地道な努力として継続・発展しつつある。

 近隣国との歴史的な経済・文化・学術交流の経験を踏まえ、経済と学術交流によるアジアの共同と安定的発展こそ21世紀の普遍的価値として我々が目指すべき課題であろう。

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