2023 年 28 巻 3 号 p. 3_16-3_20
震災直後に出現した復興にかかわる二つのナラティヴ、すなわち「ショック・ドクトリン」というナラティヴと「災害ユートピア」というナラティヴは鋭く対立しているようにみえながら、新自由主義的な復興論議の下でひとつのナラティヴに一体化している。そうしたナラティヴはそもそも黙示録としてあり、そこに系を異にするもうひとつのナラティヴが見え隠れしている。そして二つのナラティヴが相克するなかで、それらの「あいだ」でさまざまなナレッジが立ちあらわれている。それらは非対称的に布置しているが、それらのなかから復興を「プロセス」としてとらえつつ、軸線を「パブリック」から「コモン」へと移し、人びとの「生存の知」へと組み直そうとするものが立ちあらわれている。