2023 年 28 巻 3 号 p. 3_70-3_72
震災と復興をめぐっては、実態を把握し、対策を立て、実行に移し、それを評価して改善していくというモニタリングの必要性が強調されてきた。しかし、東日本大震災からの10年以上の歳月からわかってきたことは、政府の対策や政策は必ずしも被災地や被災者への配慮だけではなく、何か別の事情と力によって左右されていくということであった。それを批判することはたやすいが、容易には変わらない現実がある限り、顧みられることなく、打ち捨てられた、微細で、多様な人々の営みを詳細に記録していくことが求められる。ここではそれを「社会的モニタリング」とよんでおきたい。