凍結による食品組織の損傷を抑制するためには氷結晶を均一にする必要がある.この方法の1つとして過冷却現象を利用した凍結が挙げられるが,食品中心部が過冷却状態に達する前に過冷却が自然解消するという問題がある.本稿では試料温度変化を基に,任意の形状の試料中に氷核が発生して試料全体の過冷却が解消されるまでを予測する数値計算モデルについて提案する.また,本モデルを用いて試料形状や冷却速度の違いが凍結開始時の温度分布に及ぼす影響について検討し,マグロ試料の凍結実験結果と合わせて評価した.その結果,試料内に温度分布が付かないように冷却することで,試料表面からの過冷却解消を抑制し,試料中心部の過冷度を高められることが分かった.