日本冷凍空調学会論文集
Online ISSN : 2185-789X
Print ISSN : 1344-4905
ISSN-L : 1344-4905
原著論文
東北産マダラ由来不凍タンパク質(AFP)の特性解析と中間精製
田口 尭麻呂高橋 幸幹﨑山 高明萩原 知明
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 32 巻 2 号 p. 189-193

詳細
抄録

前報において,我々は東北地方で漁獲されたマダラ(Pacific cod Gadus macrocephalus)及びマコガレイ(marbled sole Pseudopleuronectes yokohamae)に不凍タンパク質(AFP)に含まれている可能性を明らかにした.本報では,マダラからのAFP の中間精製を効率的に行うことを目的として,マダラ水抽出液が示す不凍活性の季節変動,加熱処理がマダラ水抽出液の不凍活性に及ぼす影響,限外濾過による分子量分画がマダラ水抽出液の不凍活性に及ぼす影響を調べた.2013 年の11,12,3,5 月に岩手県宮古で漁獲された試料の不凍活性を調べたところ,11 月及び12 月に漁獲された試料に明確な不凍活性が確認できた一方で,5 月に漁獲された試料は不凍活性が著しく弱かった.60℃,70℃,80℃で15 分間加熱処理を施した水抽出液は,未加熱試料と同様の不凍活性を有していた.限外濾過による分画の結果,分子量10,000-30,000Da の範囲の抽出液分画に強い不凍活性が確認され,マダラ由来のAFP の分子量はこの分子量範囲内であることが示唆された.

著者関連情報
© 2015 公益社団法人 日本冷凍空調学会
前の記事 次の記事
feedback
Top