保冷材は現在,おもに食品分野などで物質を低温に保持し鮮度を保つ目的で広く用いられている.溶媒は主に水や食塩水であり,その中にゲル化剤を2%ほど加えることにより,溶媒の分離と破損に伴う溶媒の散乱を防ぐことができる一方,凝固速度を抑制してしまう.本研究では数種類のナトリウムCMC を保冷材に添加するゲル化剤として用い,ゲル化剤の濃度,エーテル化度,重合度,動粘性係数などが凝固速度に及ぼす影響について検討した.その結果,重合度が高いほど,またエーテル化度が高いほど同じ動粘性係数でありながら凝固速度が高くなることを明らかにした.また,一般的にはCMC の濃度が高いほど凝固速度は低くなることが知られているが,高エーテル化度のCMC においては,低濃度域では凝固速度が純水より高くなる場合のあることを明らかにし,その原因について考察している.