2015 年 32 巻 4 号 p. 453-459
これまで,熱音響デバイスの設計やその内部現象の理解に熱音響理論が広く用いられてきた.しかしながら,吸放熱を行う熱交換器に対して熱音響理論は適用できず,その性能に関する理解が進んでいない.本研究では,熱音響デバイス用熱交換器の吸放熱量に対する性能を評価するために,熱音響理論を使用しない数値解析を実施した.熱交換器の性能評価の指標として熱伝達率を導入し,性能に対する運転周波数の影響を調査した結果,運転周波数が高いほど熱伝達率の値は大きくなり,熱交換器としての性能が高くなることがわかった.さらに,運転周波数が高いほど熱交換に寄与する半径方向の範囲が狭くなり,管壁近傍の作動ガスの温度勾配が大きくなるため,管壁への放熱量が大きくなることがわかった.