日本冷凍空調学会論文集
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原著論文
ゴマサバおよびマサバ筋肉の硬さと凍結時の氷結晶生成との関係
橋本 加奈子小林 正三山下 倫明
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2016 年 33 巻 1 号 p. 65-71

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抄録

凍結貯蔵したゴマサバとマサバの肉質の違いを明らかにするため,両種の筋肉のpH および硬さを測定し,凍結肉における氷結晶生成を観察した.未凍結肉においてpH は両魚種間で差違は認められなかったが,普通筋横断面に対する破断強度はマサバ筋肉に比べてゴマサバ筋肉の方が低かった.凍結中の普通筋における氷結晶サイズはマサバ筋肉に比べてゴマサバ筋肉の方が大きかった.凍結貯蔵した筋肉を解凍し,普通筋横断面に対する破断強度を測定した結果,マサバ筋肉に比べてゴマサバ筋肉の破断強度は低かった.以上の結果から,凍結中の普通筋の氷結晶サイズは,マサバ筋肉に比べて,ゴマサバ筋肉の方が大きかったことから,ゴマサバ筋肉の組織構造はマサバのそれと比べて脆弱であり,凍結貯蔵中に比較的大型の氷結晶が形成されることが推定された.また,未凍結の鮮魚および凍結解凍後のいずれの筋肉においても,マサバ筋肉に比べて,ゴマサバ筋肉の方が柔らかかったことから,凍結前の筋肉の組織構造が凍結解凍後の品質にも影響を及ぼすと考えられた.

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© 2016 公益社団法人 日本冷凍空調学会
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