2016 年 33 巻 3 号 論文ID: 16-14NR
本研究は,重症脳損傷患者を対象として,患者の脳温を33℃程度に保持することにより,脳の2 次的損傷を防ぎ,かつ神経学的予後が良好な治療方法の一つとされている脳低温療法のための医療器具開発を目的としている.特に脳低温療法のために開発された咽頭冷却用カフに対し,工学的な見地に基づき諸特性の検討を行った.なおカフは咽頭の約10mm 外側に位置する総頸動脈を冷却でき,脳温を選択的に低下させることができる.本論文では,カフ内部における灌流液の流動様相および温度分布を明らかにするため3 次元熱流動シミュレーションを実施した.結果より,数値シミュレーションは実際の流動様相を良く再現できることを確認した.さらにカフ形状の違いによる,カフの局所的な冷却効果を明らかにした.