本研究では,矩形管の水力直径が0.84 mm の水平微細流路ガラス管内を流れるR 134a の流動様相の観察を高速度カメラを用いて行った.観察はまず無振動かつ断熱条件で行い,既存研究で提案された流動様式線図の適用性を検証した結果,観察結果と良好な一致を示した.さらに観察部を一様加熱した状態で鉛直方向の振動を印加して,管内の液膜の状態が振動によって大きく変化すると考えられる,スラグ流と層状流に対し,流動様相に及ぼす振動の影響を検討した.スラグ流域では矩形管の角部から管内壁面中央部の乾き面へ,層状流域では液が流れている管底部以外の管内のほぼ全面に形成される乾き面へ,それぞれ液を供給する様子が確認できた.さらに,層状流域ではある一定の振動条件下で,流動様式が環状流に遷移する様子が観察された.このため,振動はCHF やドライアウトクオリティの向上に良い影響を与えていることがわかった.また,乾き面への液の供給現象を定量的に評価するため,振動の最大加速度を用いて整理した.