論文ID: 20-14_EM_OA
蒸発伝熱面の冷媒濡れ性を向上・維持して薄液膜からの蒸発熱伝達を向上させるために,著者らはレーヨン短繊維をクロスフィンチューブ熱交換器表面に静電植毛した伝熱面(植毛面)に着目した.本研究では,植毛面に形成される液膜形状や蒸発熱伝達特性を明らかにすることを目的とし,まず本熱交換器を水冷媒に浸してフィン上の液膜を観察した.その結果,フィン間にブリッジされる厚い液膜とフィン面上の繊維間に保持される薄い液膜の2 種類を確認した.そして両液膜の厚さの推算方法を提案し,その妥当性を確認した.次に植毛面が伝熱を阻害しないことを無植毛面との比較実験で確認した.さらにフィン面が繊維間液膜で覆われる場合,蒸発熱抵抗が無植毛面のそれよりも約半分に低下することを明らかにした.最後に繊維間液膜部の熱抵抗の予測モデルを作成し,適用可能な範囲を明らかにした.