論文ID: 20-26TN_EM_OA
地中熱利用システムはその高効率性の一方で導入コストが高額となるため,ライフサイクルコストの評価によるシステムの最適設計が必要とされる.このライフサイクルコストの評価を行うため地中熱利用システムの設計段階においては長期間のシステムシミュレーションが不可欠であり,高速なシミュレーション手法の開発が課題となっている.この課題に関して,地中熱利用システムにおいて肝要である地中熱交換器周囲温度場のシミュレーションは,非定常採放熱量変化と一定採放熱条件下での温度応答関数の畳み込みによって計算される.この畳み込み計算はGPU を用いた高速フーリエ変換によって計算が可能であり,この手法によって畳み込み計算における計算負荷が削減される.本研究ではGPU を用いた高速フーリエ変換による畳み込み計算の高速化を行い,この効果を定量的に評価した.本手法によって1 分刻み25 年間のシミュレーションにおける畳み込みが22.8 秒で計算され,GPU を用いない計算と比較して2.5 倍の計算速度を示した.