抄録
脳性マヒ児の前腕回外運動訓練にEMGバイオフィードバック法を適用した研究の報告である。4才〜10才の痙直型脳性マヒ児、12名の被験者の上腕二頭筋から誘導されたEMGを聴覚・視覚刺激としてフィードバックし、回外運動訓練を行った。また拮抗筋として撓側手根屈筋を選定し、EMGの上から主動筋と拮抗筋の関係についても検討を加えた。その結果として、訓練全体を通しての訓練効果は認められたが、フィードバック刺激を与えた時の訓練効果と、フィードバック刺激を与えない時の訓練効果の間に明確な差は出されなかった。またIQ、UMQ、CAを高、低に分けて訓練効果をみた場合、IQ、UMQでは高グループに、CAでは低グループにより高い水準で訓練効果を認めた。EMGの面から、回外運動時に主動筋と同様に拮抗筋にも筋放電の増大が認められ、同時収縮か手部の無関係な運動が起こったことが判明した。