特殊教育学研究
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学童吃音児の治療終結時の症状と予後
遠藤 真坂野 文子倉林 照雄
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1981 年 19 巻 1 号 p. 48-56

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抄録
某小学校言障学級へ1974年4月から1979年3月までの5年間に来室した吃音児22例の予後について調査した。1例は調査不能であった。終結後吃悪化のため再指導したものが2例あった。今回の予後調査では再指導例も含めて全事例において治療効果が維持されていた。むしろ、終結後に自然治ゆが促進される傾向にあった。終結後半年未満の2例を除き、親子共に吃音からほとんど解放されていた。残る2例の吃症状も終結時より軽快していた。吃音以外の不適応問題も顕著に改善されており、新たに不適応問題を訴えるものもなかった。本調査の吃音児の予後がよかったのは終結時に次のような条件を備えていたからであろうと考察した。(1)本人が楽に話していると評価できる程度に吃音が減少していた。特に難発が消失していた。(2)残存吃に対して親子共に強いこだわりを抱いていなかった。(3)吃音以外の不適応問題が顕著に改善されていた。
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© 1981 日本特殊教育学会
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