特殊教育学研究
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通常学級における平仮名書字学習困難児の実態とその指導形態
大庭 重治佐々木 清秀
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1990 年 28 巻 2 号 p. 35-42

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抄録

平仮名の書字学習が困難な児童の学習の実態とそれらの児童に対する個別指導の現状を、上越市内にある小学校の通常学級1年生担任教師を通してアンケート調査した。その結果、以下のことが明らかにされた。(1)書字学習困難児は1,638名中15名存在し、出現率は0.92%であった。性別では男子に多く、女子の出現率の約3.7倍であった。(2)15名中12名は21文字以上の平仮名が書けたが、他の3名は5文字以下であった。(3)誤字には、およその字形は正しいが、要素の一部に崩れがみられる誤りが多かった。(4)書字能力に関連する知能、空間認知、微細運動等の機能の獲得に遅れがみられた。(5)個別指導が必要な児童には、全員に対して個別指導が行われていた。(6)個別指導は、主に視写、なぞり、演示によって行われていた。(7)個別指導を受けていても平仮名書字を習得できない児童がいた。この結果から、書字学習困難児における個別指導のあり方をさらに検討していく必要性が示唆された。

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© 1990 日本特殊教育学会
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