特殊教育学研究
Online ISSN : 2186-5132
Print ISSN : 0387-3374
ISSN-L : 0387-3374
コミュニケーション手段として指書が出現した自閉症児の一事例(実践研究特集号)
渡部 信一
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 33 巻 5 号 p. 33-39

詳細
抄録
今回筆者は、それまで全く指導を受けたことのなかった「指書」をコミュニケーション手段として突然使い始めたひとりの音声言語を持たない自閉症児を経験した。本事例は幼児期から文字に対しては著しい興味を示し、「指書」出現以前にも単語(ひらがな、カタカナ)の書字はある程度可能であったが、それをコミュニケーションに用いることは全くなかった。初めて「指書」が出現してから3ヵ月後には30単語、6ヵ月には100単語以上が観察され、その後も2単語の連続や品詞の拡大(形容詞、動詞、助詞、感情語)などの発展が認められた。従来、自閉症児に対し音声言語以外のコミュニケーション手段を意図的・系統的に指導した報告は多数あるが、本事例では事例自らが「指書」という新たなコミュニケーション手段を使い始めたという点で従来の研究とは異なった意味を持つと考える。
著者関連情報
© 1996 日本特殊教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top