1999 年 37 巻 3 号 p. 69-79
本研究は強いこだわりを持つ中度知的障害を伴う自閉症児における対人関係の改善のための指導について検討することを目的とした。本事例においては、家庭中心型指導により対象児の家庭でフリー・オペラント技法による介入を行った。その結果、対象児の自発的なかかわり行動や指導者との会話のターン数が増加し、それとともに指導者との遊びや会話内容も多様になった。さらに、指導者以外の他者に対しても自発的にかかわりを求めることが増加したことが報告された。これらの結果から、本事例におけるフリー・オペラント技法による介入の効果、般化を促進した要因について考察された。