抄録
本研究の目的は、受付から支払いまで一連のボウリング場利用スキル形成の指導を、養護学校の授業で実践し、その経過及び休日の実行について報告し検討するものである。授業では、知的障害養護学校の高等部生徒9名を対象に、地域のボウリング施設で定期的に実地指導を行った。課題分析に基づいて「生活技能支援ツール」(武蔵・高畑,1997)として「ボウリングお助けブック」を作製し対象生徒に提供した。加えて、施設の利用手順の改変やボウリング場スタッフへの協力依頼等の社会環境側への介入を実施した。その結果、対象生徒5名が利用スキルを習得し、4名は周囲の援助を受けながら、ボウリング場利用が可能となった。対象生徒のうち6名が休日に仲間同士で、定期的にボウリング場を利用したことが確認された。また、生徒本人、保護者、ボウリング場スタッフに対して、標的行動及び余暇指導に関するアンケートを実施した結果、概ね肯定的な評価を得た。休日や養護学校卒業後に地域資源の活用を想定した余暇指導のあり方について考察した。