特殊教育学研究
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幼児の読みに及ぼす音節とモーラの影響
迫野 詩乃伊藤 友彦
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2010 年 48 巻 1 号 p. 13-21

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抄録

英語においては、語の音節数は読みの成績に影響するといわれている。しかし、日本語においてはこの点について明らかになっていない。本研究は、幼児の読みに及ぼす音節とモーラの影響を検討することを目的としたものである。対象児は5〜6歳の定型発達児37名であった。刺激語は1音節1モーラ刺激、1音節2モーラ刺激、2音節2モーラ刺激、2音節3モーラ刺激の4種類を用いた。その結果、誤答数はすべての刺激語において著しく少なく、1音節1モーラ刺激と1音節2モーラ刺激は2音節3モーラ刺激よりも有意に少なかった。音読時間については、音節数が同じ場合はモーラ数が少ない刺激語のほうが有意に短かった。また、モーラ数が同じ場合は音節数が少ない刺激語のほうが音読時間は有意に短かった。これらの結果から、日本語においては語の音節数とモーラ数の両方が幼児の読みに影響を及ぼすこと、誤答数は音読時間ほど影響を受けないことが示唆された。

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© 2010 日本特殊教育学会
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