思春期から不登校を呈しはじめた学習障害の中学生男子の1事例に、中学2年の10月から高校1年末の3月までの30か月間学習支援したので、その間の少年の情緒面や学習面、人間関係面の変化について報告する。学習支援は、(1)中学の宿題や復習の指導を中心に行った時期(6か月間)、(2)教科の勉強はせず少年の好きな遊びを室内や戸外で行った時期(6か月間)、(3)少年の好きな技術科の家具工作を最後まで粘り強くやることに取り組ませた時期(3か月間)、(4)通信制高校入学後に必要になる社会生活スキルの指導や、高校に定期的に提出する課題の完成を支援した時期(15か月間)に分けて行った。エピソード記録および3種類の質問紙(「心の元気度質問紙」等)4回分の結果を分析した。その結果、抑うつ状態の改善や、学習に取り組む態度および両親との関係の良好化か確認され、通信制高校への入学を境に不登校状態が収まったことが示された。