抄録
5名の広汎性発達障害児を対象に、小集団指導での音楽活動において、指導者の位置取りの違いが対象児の参加や離席行動、指導者の支援行動に及ぼす効果を検討した。期間は7か月で、指導者2名によるチームティーチングにより、打楽器と手遊び課題を行った。課題への参加行動の形成を目指して、補助指導者が、(1) 対象児全員に後方から個別支援する、(2) 参加困難な対象児を後方から個別支援する、(3) 参加困難な対象児を前方から個別支援する、(4) 主指導者と補助指導者が分担して対象児全員を前方から支援する、という4条件を(1)~(4)の順で実施した。その結果、2名の対象児では、(3)の対象児の前方から個別支援する条件で参加行動が高まった。指導者が前方から支援することで、動作モデルが手がかりとなり、うなずきが賞賛となることを示唆した。また、(3)の条件では、指導者が特定の対象児に個別支援することで、個別支援を受ける対象児の離席行動は低減する一方、他児では離席行動が高まった。