特殊教育学研究
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実践研究
特別支援学校における行動問題を示す重度知的障害児への機能的アセスメントに基づく介入
塩見 憲司戸ヶ崎 泰子
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2012 年 50 巻 1 号 p. 55-64

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抄録

本研究では、重度の知的障害児を対象に、「教師や友だちの服を引っ張る」行動と、「授業中に離席する」行動の改善を目的とした介入を行った。機能的アセスメントを用いて行動問題の機能を査定したところ、対象生徒の示す行動問題は難しい課題や長時間の課題従事が先行条件となって生じており、その結果、身体的かかわりや個別の言語的かかわりを得ていると推定された。標的である行動問題の低減をはかるため、対象生徒に適合した環境設定のための補助教材を用いた環境調整と、望ましい行動を強化し定着させる教師の対応を中心とした介入を実施した。その結果、標的行動は減少あるいは消失し、介入終了後の観察期間においても良好な状態が維持されていた。以上のことから、本研究で用いた機能的アセスメントに基づいた応用行動分析的介入は、行動問題の改善に有効であったことが実証された。

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© 2012 日本特殊教育学会
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