抄録
継続的で濃厚な医療的ケアを必要とする超重症児への教育的対応においては、かかわり手が彼らをどのように理解するかが問われる。本稿では、こうした観点から超重症児を対象とした研究を概観した。まず、彼らの状態像を整理し、そこから考えられる教育的対応の課題について述べた。ここでは、医療的ケアにおける教育的対応のあり方や覚醒状態の変動と教育的対応との関係、身体の動きの特徴と随意性、コミュニケーションに関する課題が検討された。そして、彼らを理解するためのアプローチを概観した。生理的指標を取り上げた研究からは、彼らが周囲の環境と相互交渉していることが示唆された。次に、生理的指標が教育的対応に貢献するためには、生理的指標が教育的対応の実践と省察の循環過程に組み込まれることが必要であることを指摘した。最後に、彼らの行動の意味を読み取り、理解するためのアプローチとして、共創コミュニケーション研究の取り組みについて紹介した。