特殊教育学研究
Online ISSN : 2186-5132
Print ISSN : 0387-3374
ISSN-L : 0387-3374
実践研究
行動問題を示す自閉症児へのトークン・エコノミー法を用いた課題従事に対する支援
小笠原 恵広野 みゆき加藤 慎吾
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 51 巻 1 号 p. 41-49

詳細
抄録
本研究では、行動問題を示すことによって授業における課題従事が困難になっている自閉症児1名に対して、トークン・エコノミー法を用いて課題従事を支援し、その効果を課題従事の促進および行動問題の低減から検討することを目的とした。支援開始前、授業中の本児の要求が拒否された場合に行動問題が生起し、課題従事をせずにその場から離されるという随伴性が成立していた。本研究では、この行動問題が生起する環境に、トークン・エコノミー法を用いて課題従事すれば本児の要求が満たされるという新たな随伴性を組み込んだ。その結果、課題の従事率は80%を超えた。しかし、行動問題は半減するにとどまった。これらの結果より、本研究で用いたトークン・エコノミー法は課題従事を促進することと、一部の行動問題の低減に有効であることが示唆された。また、残存する行動問題について、経時的にその機能を分析する必要性が課題として残された。
著者関連情報
© 2013 日本特殊教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top