特殊教育学研究
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実践研究
広汎性発達障害児が示す暴力・暴言・物壊しの低減を目指した自己記録を中心とした介入パッケージ
小笠原 恵末永 統
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2013 年 51 巻 2 号 p. 147-156

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抄録
本研究は、日常生活において、他者に対する暴力・暴言や物壊し行動を頻繁に示す広汎性発達障害児1名を対象として、自己記録を中心とした介入パッケージを導入した。介入パッケージには、(1) 行動問題の生起を自身で記録すること、(2) 適応行動の生起に他者が言葉をかけることによる強化を行い、その回数を自身で記録すること、(3) 記録内容から得点を算出し、バックアップ強化子と交換するトークン・エコノミー法およびレスポンスコスト、の3つを含んだ。対象児の行動の生起は、母親が記録した。介入開始後、標的行動は増減を繰り返しながら消失した。本児の標的行動の記録数は、母親の記録数に比べ少なかった。適応行動に対して他者がかけた言葉による強化の記録数は維持された。記録行動の維持には、記録方法とバックアップ強化子が影響した。また、適応行動の生起に対して他者がかけた言葉による強化数を本児が記録したことが、標的行動の生起に影響を与えた可能性が示された。
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© 2013 日本特殊教育学会
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