抄録
本研究では、新規刺激の導入や活動の切り替えに困難がみられた自閉性障害男児1名を対象に、活動の見通しを立てて自律的に次の活動に移行すること、および次の活動を視覚的に理解することで新規刺激に対する拒否行動を軽減することを目的に、活動スケジュールを用いた介入を行い、その有効性を検討した。大学の指導室において、写真カードを用いた活動スケジュールの利用行動を漸減型ガイダンス手続きによって形成した後、徐々にスケジュール表を汎用性の高いものへと変更した。その結果、対象児は文字によって示された活動スケジュールを利用し、デジタルタイマーによって自由時間をコントロールすることが可能になった。活動スケジュールの利用は日常生活場面においても効果がみられた。これらの結果から、「支援つき自己管理」の観点による自閉性障害児者の自立の促進可能性や、今後の課題について考察を行った。