2014 年 52 巻 4 号 p. 251-262
2名の自閉症児に対して、物品要求・貸与要求・教示要求(援助要求)等の5つの場面からなるルーティンを設定し、「ありがとう」の始発を目指した指導を、場面間で同時に指導を行う並行指導法を用いて行った。併せて、家庭や学校等の日常生活における般化を測定した。そして、並行指導法を用いることによって、日常生活での般化が促進されるか否かについて検討した。その結果、1名は5つの場面で、もう1名も4つの場面で、標的行動が習得された。また、両児に日常生活において「ありがとう」の始発の般化が観察され、物品要求等の指導した場面ばかりでなく、被供与等の未指導の場面においても般化がみられた。さらに、被援助等の物品の受け渡しを伴わない場面においても般化が観察された。これらの結果から、複数の場面からなるルーティンを設定し、並行指導法を用いて指導を行うことによって、標的行動の日常生活での般化が促進される可能性が示唆された。