本稿では、2000年から2012年までに発表された訪問教育に関する研究論文を取り上げ、研究動向を把握するとともに今後の研究課題を明らかにすることを目的とした。動向の把握に当たっては、以下の5つの観点から研究内容を概観した。すなわち、(1)訪問教育実施状況等の把握、(2)重度・重複障害のある児童生徒の指導方法、(3)家族支援、(4)海外における訪問教育制度、(5)訪問教育制度の新たな展開である。本稿においてはさらに、今後の研究課題として、3つの観点からの指摘を行った。第1は、訪問教育対象児と特別支援学校通学籍の子どもや近隣通常学校の子どもたちとの直接的交流や、遠隔教育システムに基づく共同学習に関わる課題、第2は、最重度脳機能障害のため活動内容に加え活動の時間と空間も大きく制約されている子どもの指導と評価に関する課題、第3に、大学等の研究者との連携に関わる課題である。