特殊教育学研究
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原著
自閉症スペクトラム障害のある児童とそのきょうだい関係 ―行動問題と知的障害の有無の影響―
武田 瑞穂熊谷 恵子
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2015 年 53 巻 2 号 p. 77-87

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抄録

自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)は社会性とコミュニケーションの障害を主徴とする発達障害である。ASDのある児童とそのきょうだいとの関係は、定型発達児どうしのきょうだい関係とは異なる様相を呈すると思われるが、その特徴を報告した研究は少ない。本稿では、ASDのある児童の行動問題と知的能力の有無がきょうだい関係に及ぼす影響を検討した。研究1では、日本版きょうだい関係質問紙(以下、日本版SRQ)の因子構造と妥当性を検証した。研究2では、日本語版SRQによる小学校低学年のASD児のきょうだい関係と、行動問題や知的障害の有無との関連を検討した。その結果、知的障害のあるASD児では、『温かさ・親密さ』『力関係』の程度が、知的障害のないASD児や定型発達児のきょうだいより低かった。また、ASDのある児童のきょうだい間の『温かさ・親密さ』の度合いが低いほど、『無気力・社会的引きこもり』の程度が強かった。

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© 2015 日本特殊教育学会
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