抄録
学習上や生徒指導上の問題で苦慮している生徒などが多数在籍する、高等学校定時制課程の数学の授業において、協同学習に相互依存型集団随伴性を組み合わせた介入を実施した。そして、当該生徒の授業参加行動の改善、授業中の問題行動の低減、および学級全体の学業達成の向上を目指した指導を行い、指導方法の妥当性について検討した。その結果、当該生徒に授業参加率の増加・問題行動の生起率の低減がみられ、学級全体の学業達成度にも影響を及ぼしたことが明らかになった。また、授業担当教員ならびに全生徒を対象とした介入受容性においても肯定的な評価を得ることができた。本研究の結果から、相互依存型集団随伴性が学業達成度に影響を及ぼした可能性が示された。また、協同学習が授業参加率の増加ならびに問題行動の生起率の低減に有効であり、しかも相互依存型集団随伴性と組み合わされることによってさらにその効果が増大することが示唆された。