本研究の目的は、信頼性と妥当性を兼ね備えた「白杖歩行訓練における観点別評価尺度」の作成であった。研究1では堀内ら(2008)を参考に、白杖歩行訓練に必要な観点について質問表を作成し、得られた歩行訓練士101名のデータに対し因子分析を行い、3つの下位尺度(歩行環境を読み取る力、歩行能力を判断する力、指導方法を選択する力)をもつ30項目の尺度を作成した。尺度は高い信頼性を有していた。研究2では妥当性の検討のため、下位尺度得点と歩行訓練士としての活動年数との関連性を検討した。歩行訓練士としての活動年数と下位尺度の順位相関係数の値は、低から中程度であった。分散分析の結果、歩行能力を判断する力と指導方法を選択する力では、活動年数の有意な関連性が認められた。一方で、歩行環境を見る力では活動年数は関連しないことが明らかになった。これらの結果から、本尺度の信頼性と妥当性が議論された。