特殊教育学研究
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日本語を母語とする場面緘黙児における言語・コミュニケーション能力の特徴
高木 潤野
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2018 年 56 巻 4 号 p. 209-218

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抄録

本研究は、日本語を母語とする場面緘黙(SM)児に何らかの言語・コミュニケーション能力の問題がみられるかを明らかにすることを目的とした。自閉スペクトラム症および知的障害の診断のない幼児から中学生のSM児32名を対象に、日本版子どものコミュニケーション・チェックリスト(CCC-2)、音声の聴取、場面緘黙質問票(SMQ-R)を行った。その結果、一般コミュニケーション能力群(GCC)値は32名中4名が44(3パーセンタイル)以下であった。領域ごとでは、2領域以上で5パーセンタイル以下の値があった者は13名であった。音声の聴取ができた21名中2名に構音障害疑い、2名に吃音疑いが認められた。これらを併せると言語・コミュニケーション能力に何らかの問題が認められた者は32名中16名であった。したがって、日本語を母語とするSM児においても海外の先行研究と同様に、言語やコミュニケーションに関連する能力に問題がある者が半数程度存在する可能性が考えられた。

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© 2018 日本特殊教育学会
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