2020 年 57 巻 4.5 号 p. 233-245
大学における自閉スペクトラム症(以下、ASD)のある学生数は近年増加しており、ASD学生に対する修学上の支援として合理的配慮が実施されている。この実施にあたっては、周囲の存在が不公平感を抱くことなどが懸念されるが、教員、学生を対象にASD学生への支援に対する意識について、支援実施主体や支援対象となる障害種の差異に着目した研究は少ない。本研究では、大学生および大学教員におけるASD学生への支援に対する許容度、およびどの程度支援を行えるのかという実施可能性について、障害特性の可視性に注目し、ASDと身体障害との比較から捉えることを目的とした。質問紙調査の結果より、学生が支援主体となることに対する許容度が対象群間で異なること、ASD学生に対して周囲が支援を行う場合、教員では、授業中の情報伝達方法の工夫、学生では、授業環境の整備やグループワークでの役割分担の実施可能性が高いことが明らかとなった。