2019 年 96 巻 p. 57-64
本研究は,骨格筋電気刺激前の分岐鎖アミノ酸(BCAA)摂取が,電気刺激中のエネルギー代謝に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。健常男子学生14 名を対象に,BCAAまたはプラセボを摂取した後,電気刺激を周波数20Hzで10 分間実施した。その結果,BCAA摂取において血中乳酸濃度の有意な低下を認め,呼気ガス分析では酸素摂取量が有意に増加を示した。また,遅発性筋痛に関して,翌日,2 日目のNRS(痛みの評価指数)が有意に低値を認めた。呼吸交換比,血圧,心拍数には,両条件間で有意な差を認めなかった。これらの結果より,BCAAの摂取 は通常の運動時と同様に,電気刺激時においてもエネルギーの供給源となり,蛋白分解を抑制し,蛋白合成を促進する等の効果を示す可能性が示唆された。