2005 年 48 巻 8 号 p. 617-620
症例は67歳, 男性. 1986年に健診にて血糖の高値を指摘されるも放置していた. 1991年に糖尿病の指摘を受け, 経口血糖降下薬の内服を開始された. 1993年にバイヤル製剤N注 (ヒューマリン®N注) によるインスリン治療が開始された. 注射部位の発赤, 〓痒が続くため1996年混合型カートリッジ製剤30R注 (ペンフィル®30R注) に変更され, その後症状は消失していた. 1997年血糖コントロール目的に入院となり, 混合型カートリッジ製剤20R注 (ペンフィル®20R注) に変更となった. 2000年11月インスリン注射後に意識消失し, 救急搬入された. 来院時に血圧低下および腹部の発疹を認め, アナフィラキシーショックと考えられた. 数種のインスリン製剤による皮内テストを施行した結果, すべて陽性であり, インスリンアレルギーと診断した. 経口血糖降下薬に変更したが血糖のコントロールができず, 脱感作療法を施行した. 以降, アレルギー反応は認めなくなった. ヒトインスリンが使用されるようになりインスリンアレルギーの発生頻度は減少傾向にあるが, 本症例のようにアナフィラキシーショックをきたす例があり注意が必要である.